ネット通販で起業した
3つの理由

 リクルートに入社して5年経った頃、ネットが急速に普及し始めた。

 よし! 起業のタイミングがきたと思った。

 私が最終的に、ネット通販を選択した理由は3つある。

1.ネットビジネスであること

 インターネットの登場は、まさに明治維新級の革命だった。

 バーチャル空間ができ、世の中の仕組みがリセットされる。

 のし上がるには、まさに絶好のビジネスチャンスだと感じた。

2.B to Cであること

 B to Cを選んだ理由は、景気の影響を受けにくいことだった。

 リクルートでB to Bの営業をやっていたとき、「B to Bで動くのは、消費ではなく投資のお金」だと思った。

 企業が求人広告を出すのはなぜか。新たに人を採用し、その人材によってさらに儲けるため、つまり投資だ。投資のお金は不況時には回らない。どんなにすぐれた求人媒体をつくってもニーズがなければ売れない。

 B to Bは景気の波をもろに受ける。リクルートはバブル崩壊で、巨額の借金を抱え、ダイエーに買収された。

 当時のダイエーは「セービング」というプライベートブランド(PB)をヒットさせていた。B to Bではリターンが計算できないと投資しないが、B to Cでは「よいものさえつくれば売れる」ので景気の波を受けにくい。

3.物販であること

 同じB to Cでも、ネット上で完結するコンテンツビジネスか、物販かという選択肢があったが後者にした。

 創業当初の2000年頃は、ネットの利用が法律で規制される可能性もゼロではなかった。

 また、技術が一変する可能性もあった。その影響を受けないよう、マネタイズ部分はモノを介在させるほうが安全だと思った。これなら急激な環境変化があっても、新聞やカタログなど他のメディア通販に置き換えることが可能だ。