自動的に好奇心が拡がっていく
寺田:僕は出口さんがいつも中央アジアの遊牧民の歴史を大切にされる姿勢が好きです。
先ほどの『ミリンダ王の問い』でもギリシャ世界とインドをつなげる視点、そんな学際的ダイナミズムが出口さんの真骨頂だと思っています。出口さんご自身も生命保険会社のサラリーマンから還暦で世界初のインターネット生保「ライフネット生命」を起業され、古希でAPU(立命館アジア太平洋大学)の学長になられた。まさに“学際的人生”ですよね。
出口:なぜかといえば、僕は無類の歴史好きで、たくさん歴史書を読んできました。ただ、中国史はたくさんある。西洋史もある。でも、その間のインドや中央アジアのことがどこにも書いていない。世界史のパズルが埋まらなかったのです。それが気持ち悪いので、インドや中央アジア関係書を少しずつ読んでいったのです。
百々:たしかに、中央アジア史は、僕もほとんど知りません。学校でもあまり教わっていないので、みんなほったらかしにしていますよね。そこは、空白地帯だと思います。
出口:でも、それでは世界史が肚落ちしないので、気持ちが悪いのです。
寺田:出口さん、その気持ち悪さを解消したいがために、とことん調べる原動力は何でしょう。
出口:好奇心ですね。それが、人生における重要なものの一つ……というか、好奇心がすべてではないでしょうか。
百々:たしかに、楽しそうな人は好奇心がものすごく強い。それが、仕事や遊びなど、いろいろ羽ばたく力を生むエネルギーのような気がします。
でも、その好奇心を拡げていくのは、すごく難しい。でも、出口さんの本を読んでいくと、自動的に好奇心が拡がっていく感じがするんですね。僕は出口さんのおかげで、「好奇心の窓」がガラッと開いたんです。