歴史から学ぶ「出口の入口」
百々:今回、11万部突破記念として、出口さん、寺田さんと改めてお話しをさせていただき、大きな発見がありました。なぜ出口さんの本をみんなが読むのか?
これまで「面白くて、教養が見につくから」と思ってお客様にお薦めしていたのですが、それだけではないかもしれません。
「読者が出口さんの視点に近づいていくから」というのが、本当の理由ではないかと思ったんです。
寺田:え!? 出口さんの視点に近づく?
百々:はい。たとえば、インドあたりの「空白」があることを、普通は気にしません。
だけど出口さんは世界史の本を読んでいても、なぜここが空白なのかと感じる。
出口さんの本を読んでいるうちに、だんだん出口さんと同じような感覚に近づいていって、そのうちインドあたりの空白に気づくようになる。それが、「好奇心の窓が開く」ということでもあると思うんです。
ひょっとしたら僕も、無意識のうちに、みんなを出口さんに近づけさせたいと思っていたのかもしれません。もちろん僕自身も近づきたいですが。
寺田:今、このコロナ禍だからこそというのもありそうですよね。
「過去はすべてケーススタディ」という出口さんが、本を読むときの視線そのもの……俯瞰的であり、ちょっと遠くまで見通すまなざしを、みんなが手に入れたいのはよくわかります。僕も本当にそうですから。
出口:何にも出ませんよ、近づかれても(笑)。
百々:出口さんはたくさん本を書かれていますが、個人的には『哲学と宗教全史』が出口さんの代表作であり、百年残る王道の一冊だという思いは変わりません。
この本を読むことで、出口さんの本の読み方、つまりものの見方やとらえ方が変わるから。
これは僕の願いでもあるのですが、日々歴史に学び、今日を生きる出口さんに一歩でも近づきたい。
出口さんがアレクサンダー大王になりたいと没頭して本を読むように、『哲学と宗教全史』を読みながら、その時代の時代背景や民衆の空気感を味わい、自分自身がキョロキョロしながら、当時の人たちと一緒に迷い、新しいものを生み出そうする「好奇心の扉が開いていく」プロセスを楽しんでいただけたらと思います。
まさに、「出口の入口」ですね。
(完)
(ps.出口学長より)過去の僕の『哲学と宗教全史』全連載は「連載バックナンバー」にありますので、ぜひご覧いただき、楽しんでいただけたらと思います。
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