発達心理学や認知心理学においては、言語を生活言語と学習言語に分け、言語発達を日常会話力と学習言語力に分けてとらえる。子どもは、生後まもない頃から親などとのやりとりを通して生活言語を自然に身につけ、日常会話力を発達させていく。その後、読み書きができるようになるにつれて、思考の道具としての学習言語を発達させていく。学校の授業では、この思考の道具である学習言語力を使うことになる。

 発達心理学者岡本夏木は、子どもの言語発達に関して、日常生活の言葉である「一次的ことば」と授業での言葉である「二次的ことば」を区別している。一次的言葉というのは、日常生活において身近な人たちとの間で会話をするための言葉である。それに対して、二次的言葉というのは、現実場面から離れた抽象的な議論にも使える言葉であり、そこには話し言葉だけでなく書き言葉も加わってくる。

 言語学者ギボンズも、言葉には遊び場言語と教室言語があるとして、この2つを区別している。バイリンガル教育の研究者カミンズも、会話力と学習言語力を区別している。