味方にすり寄り、仮想敵を叩く単純さ
「ポスト小池」に思いをはせる都庁職員

第七の悪政 敵か味方か、単純な二者択一思考

 風を読むことにかけては当代随一と、小池知事を持ち上げるコメンテーターは世にあふれている。政治家に求められる能力のひとつではあるが、それしか持ち合わせていない人物が都知事の座に座っているとしたら、こんな都民をばかにした話はない。

 それでも、小池知事は目の前の人間を敵か味方かで識別し、目の前の事象を自分に得か損かで判断することを止めない。エジプト・カイロ大に形だけ通っていたことにし(まともに卒業したとはとても考えられない)、テレビキャスターとして世に出て以来、彼女は独自の“世渡りのスキル”を磨いてきた。その過程で習得したのが、「敵か味方か・損か得か」の二者択一思考である。

 味方と定めた相手には全身ですり寄り、仮想敵を設定して徹底的に排除する行動パターンは、都知事になってからも繰り返された。その結果、小池知事の周りに心から信頼できる都庁幹部職員は1人もいない。彼らはただ、知事から敵のレッテルを貼られてパージされることを恐れているだけである。

悪政プラス1 都庁は小池知事に食い物にされた

 小池知事就任後の5年間、都庁は人事も組織も財政も政策も、異形の政治家によってズタズタに引き裂かれた。その惨状はここまで述べたとおりである。日本の首都・東京都ともあろう自治体が、小池氏1人にもてあそばれ、いい食い物にされたのだ。

 その小池知事は今、6月25日告示・7月4日投開票の都議会議員選挙を前に、音沙汰なしの構えを見せている。五輪開催の是非に対しては、政敵の菅首相と同様に「安全・安心な大会を」と公式見解を繰り返すにとどめ、一向に本意を語ろうとしない。

 これも世渡り上手の風待ち作戦の一環なのだろうが、コロナ禍に苦しみ不安を抱く都民に対して、極めて不誠実な態度と言わざるを得ない。

 小池知事の残任期はまだ3年もある。だが、もうそろそろ「小池後」の都政を真剣に考えてもいいのではないか――。少なくとも、都庁職員の大多数は心の底からそう感じているに違いない。