新型コロナウイルスワクチンは
全ての人が無料で接種できる

 予防接種には、予防接種法で規定されている「定期接種」「臨時接種」「新臨時接種」に加えて、インフルエンザ特別措置法で規定されている「特定接種」「住民接種」がある。このほか、予防接種法に規定されていない「任意接種」というものもある。

 いずれの種類についても、ワクチン政策上の目的に応じて、「実施主体をどこにするか」「対象者は誰が決めるか」「接種を強く勧めるか(接種勧奨)否か」「国民に接種するように努めることを課すか(努力義務)」「誰が費用を負担するのか」「健康被害が出たときの補償水準」などが決められている。

 COVID-19のための予防接種は、「まん延を予防する上で緊急性が高く、病原性が低い疾病と評価するのは難しい」と判断され、2020年12月2日に成立した「予防接種法及び検疫法の一部を改正する法律(改正予防接種法)」で、「臨時接種の特例」と位置付けられた。

 本来の臨時接種は、実施主体が都道府県で、知事が対象者などを決める権限を持っている。接種にかかる費用は、都道府県や市町村の負担で、国はそれを補完する役割となる。だが、COVID-19のワクチンに関してはやり方は異なる。2020年初頭から続くコロナ禍は、国民の健康や生命、社会経済に大きな被害をもたらしており、国民全体にワクチンを円滑に接種する必要があるからだ。

 COVID-19のワクチンは国が主導して接種事業が行われており、国が接種の対象者や順位を決めている。厚生労働大臣の指示の下で、市町村が実施主体となって接種券の発送、予約のとりまとめなどを行い、都道府県には協力体制を作ることが求められている。そのため、今回に限り、通常の臨時接種とは別に、新型コロナ感染症対策として特例的に、接種にかかるワクチン費用や医療従事者の報酬などの必要経費を、全額、国が負担することになった。

 予防接種のなかには、個人から実費を徴収するものもあるが、まん延を防ぐために緊急性、必要性が高いと位置付けられている臨時接種は、そもそも自己負担はない。COVID-19のワクチンについても、この規定通り、全ての人が無料で接種を受けられる。

 ただし、このワクチンによる免疫の持続効果は未知数である。一度打てば、生涯免疫を獲得できるのか。それとも季節性インフルエンザのワクチンのようにシーズンごとに打つ必要があるのかは、現時点では分かっていない。そのため、無料措置が確定しているのは、今回の接種のみだ。季節性インフルエンザのように毎シーズンの接種が必要になった場合は、費用負担や実施主体などが改めて決められることになっている。