医療機関などの過失の有無にかかわらず、ワクチンを接種したことと副反応の因果関係が認められれば、治療にかかる医療費のほか、障害が残った場合の障害年金などが給付される。このときの給付額は、予防接種の種類によって、次のように決められている。

加速するコロナワクチン接種、万一副反応・健康被害が起きたら補償体制は?令和2年10月2日第17回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 資料「新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの接種事業について」より抜粋 拡大画像表示

 例えば、ワクチン接種後に障害状態になった場合に給付される障害年金(年額)の1級は、定期接種のA類疾病と臨時接種は約506万円だが、定期接種のB類疾病は約281万円と、かなりの差がある。

 COVID-19のワクチンも、「原則」とのただし書きがあるとはいえ、接種勧奨や努力義務が課されている。国民が安心して接種できるようにするために、万一の健康被害に備えて、上記の図表でいうと、一番左側の臨時接種と同様の高水準の救済措置が用意されている。

 死亡時の補償で比較すると、定期接種のB類疾病は最大でも2457万6000円(死亡したのが生計維持者の場合)の給付しか受けられないが、COVID-19のワクチンは4420万円を受け取ることができる。

 また、接種による健康被害が出て、ワクチンメーカーが患者に損害賠償を行うことになった場合は、メーカーが被った損失を国が補償できるような契約も結ばれている。

ワクチン接種後の死亡は接種との因果関係評価できず
接種・非接種のリスクとベネフィットをよく考えよう

 厚生労働省の「予防接種法に基づく医療機関からの副反応疑い報告状況について」(令和3年2月17日から5月16日報告分まで)によると、COVID-19のワクチンの副反応疑いは、推定接種回数611万2406回のうち7297件(0.12%)。このなかで、重篤として報告されたのは846件(0.01%)。また、接種後に死亡した事例が51件(0.0008%)あった。

 ただし、重篤と報告されたもののうち241件は、ワクチン接種との因果関係は不明だ。また、専門家の判断では、これまでの死亡事例については、いずれもワクチン接種との因果関係は評価できないとされている。