英国における最低賃金の2024年目標を
日本に当てはめた場合の時給

英国における最低賃金の2024年目標を日本に当てはめた場合の時給2019年における全労働者の所定内給与(時給ベース)の賃金分布を作成し、中央値の2/3となる賃金水準を試算

 最低賃金の改定に向けた議論が本格化している。2021年の骨太の方針の原案では、「感染症の影響で賃金格差が広がる中で、格差是正には最低賃金の引き上げが不可欠」「より早期に全国加重平均1000円とすることを目指し、本年の引上げに取り組む」とされた。

 最低賃金の引上げ率は19年度まで4年連続で3%を超えたが、20年度はコロナ禍の影響で0.1%にとどまった。ただし多くの業種では感染拡大後も人手不足が深刻で、製造業を中心に業況が急速に改善したことから、パートタイマーの賃金は上昇傾向が続いた。賃金相場から見た21年度の最低賃金は引き上げの余地がある。

 他方、宿泊・飲食サービス業などコロナ禍の影響を強く受ける業種では、最低賃金付近で働く人がとりわけ多い。最低賃金の引き上げは賃金格差の縮小に資するものの、感染拡大で厳しい環境にある企業の人件費を増やし、倒産・廃業や雇用調整を招く恐れがある。