仮想通貨取引の節税対策(3)
年間20万円以下の利益で確定

 高額な仮想通貨を保有していても、利益を確定させなければ所得税は発生しない。確定申告が必要になるのは年間20万円を超える雑所得を得た場合だけだ。そのため、利益を年間20万円以下に抑えるというのも立派な節税対策といえる。

仮想通貨取引の節税対策(4)
損益通算を活用する

 ほかの所得との損益通算や繰越控除はできないが、仮想通貨取引という枠の中で年内の損益通算をすることは可能だ。例えば、仮想通貨の取引で1000万円の利益が出ているとしよう。この場合、1000万円の含み損がある仮想通貨を売却して1000万円の損失を確定させると、その年の損益通算は0円となり、所得税はかからない。

 さらに、売却直後に同価格で買い戻すことができれば、損益通算を0円にした上で保有仮想通貨は元の状態を保つことができるのだ。ただし、時価より著しく低い価格で譲渡する場合には別のルールが適用されるため、損益通算のために自らの法人や親族などに低額で売却して損失を出すという方法は使えない。相場の70%相当額未満で売却した場合は、時価の70%相当額から対価の額を差し引いた金額を雑収入の総収入金額に入れる必要があるのだ。

仮想通貨取引の節税対策(5)
ふるさと納税でお得に納税する

 ふるさと納税を利用して返礼品を手に入れるという節税手段も検討の余地がある。納税とはいうものの、実際には任意の自治体への寄付であり、その分所得税や住民税の控除を受けられるという制度だ。控除上限額は所得などによって異なるので確認が必要だ。自己負担2000円以外に、寄付した額の一部しか控除されないこともあるため、大した節税にならないかもしれない。とはいえ、自分の好きな自治体に寄付してかつ返礼品も獲得できるというのは、何も対策せずに納税するよりも意義あることといえるだろう。

 仮想通貨でせっかくもうけを出しても、税制をきちんと理解していないと追徴課税に追われたり、「脱税犯」となって社会的信用を失ったりということになりかねない。まして、今年のように仮想通貨の価格が乱高下している時期は特に注意が必要となる。“仮想”ではない、本物の「億り人」を目指すためには、ルールをしっかり理解しておくことが重要だ。