京成電鉄の定期外利用者の
単価は3割以上の減少

 特に厳しいのが成田空港アクセスを担う京成電鉄で、定期外利用者の単価は366円から252円と3割以上も減少した。新型コロナの影響で国際線は軒並み運休となり、成田空港への移動需要は激減。特急「スカイライナー」の利用者数は対前年度88.1%減と開店休業状態だ。

 逆に観光特急を運行していない路線を見てみると、東急電鉄では定期外利用者の単価は163円から161円、相模鉄道では196円から193円、阪急電鉄では199円から197円とそれほど変わっていないのが分かるだろう(それでも若干減少しているのは外出自粛の影響と考えられる)。

 空港アクセス路線を保有する京成や名古屋鉄道、南海電鉄は一部の特急を運休する措置を取っている。だが、その他の事業者は臨時列車の運行は取りやめているものの、乗客の逸失を恐れて特急の減便には踏み込んでいない。

 とはいえ、乗客がほとんどおらず「空気を運んでいる」ような状況を座して見ていることはできず、各社はあの手この手で特急の「有効活用」をもくろんでいる。

 その中でも分かりやすい活用方法としてメディアをにぎわせたのが、余剰となった輸送力でヒトではなくモノを輸送する荷物輸送だ。

 JR東日本はかねて書類などの小荷物を新幹線で輸送する「レールゴー・サービス」を展開していたが、昨年9月から駅構内で開催される産直市と連携する形で、新幹線と在来線特急を活用した荷物輸送を開始した。今後は、駅だけでなく市中への配送を拡大することで、新たな荷主を開拓していく構えだ。

 その他、東武鉄道や西武鉄道も昨年、沿線の特産品をターミナル駅まで輸送する実証実験を行っており、近畿日本鉄道は3月、夏頃をめどに名阪間を結ぶ特急「アーバンライナー」で荷物輸送を開始すると発表しており、荷物輸送を新たな収益源とするための各社の取り組みが続いている。