たとえば、スワンソンとデ・グロッパーは、児童を対象に、未知の言葉の意味を文脈から推理させる実験を行っている。中学や高校時代の英語の試験問題、あるいは入試問題に取り組んだ際のことを思い出してみよう。知らない単語があるからといって諦めるわけにはいかない。文脈を頼りにその未知の単語の意味を推測して読み進んだり訳したりしたはずだ。それと同じように、未知の言葉の意味を推理させたのだ。

 その結果、読解力の高い子は、読解力の低い子よりも、未知の言葉の意味を推理する能力が高いことがわかった。読解力が高ければ、文脈をしっかり把握できるため、そこから未知の言葉の意味を読み解くことができる。ゆえに、読解力が高ければ、知らない言葉が出てきても文脈を頼りに意味を推理しながら文章を理解できるし、本を楽しむこともできる。

 さらに、ヴァーホーヴェンたちは、小学生を対象に追跡調査を行い、小学校1年生の時点の語彙力の差は6年生になってもほぼ固定されたままであることを確認している。

 ここから言えるのは、小学校入学時に語彙力や読解力といった言語能力の高い子は、その後も卒業するまで一貫して言語能力が高く、入学時にそのような言語能力の低い子は、卒業するまで一貫して言語能力が低いままになる可能性が高いということである。

 このように小学校入学時の言語能力が将来の言語能力の発達を大きく左右するのだとすれば、幼児期の言語発達に無関心ではいられない。