読書時間の二極化は小1から始まっている

 東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が、2016年に「子どもの生活と学びに関する親子調査」を実施している。その調査では、子どもたちの本を読む時間を調べている。

 具体的な設問としては、「あなたはふだん(学校がある日)、つぎのことを、1日にどれくらいの時間やっていますか」という問いかけがあり、「本を読む」時間などを尋ねている。小学校3年生までは保護者が回答し、小学校4年生以上は子ども自身が回答する。

 データをみると、平日に本を読む時間の平均は、小1で15.0分、小2で16.2分、小3で17.6分、小4で20.4分、小5で22.3分、小6で23.4分というように、少しずつではあるが学年の上昇とともに増えている。

 だが、平均というのは、この場合はほとんど意味がない。なぜなら、たとえば小3では、まったく読まない(0分)子が22.9%いる一方で、2時間以上読む子が0.8%、1時間読む子が8.3%、30分読む子が22.6%もおり、平均に近い15分読む子は16.5%しかいないからだ。1日の読書時間は0分から2時間以上まで大きくばらけている。

 この調査結果報告では、まったく読まない(0分)子の比率が学年の上昇とともに増えているところに着目し、読書時間は学年が上がるにつれて減少するとしているが、先に示したように平均読書時間でいえば、わずかずつだがむしろ増えている。

 そこで着目すべきは、まったく読まない子が学年の上昇とともに増えている一方で、2時間以上読む子が小1の0.5%から小6の4.1%まで8倍ほどに増え、1時間読む子も小1の4.7%から小6の10.2%まで2倍以上に増えていることだ。

 つまり、学年が上がるにつれて、長時間読書をする子も、まったく読書をしない子も、どちらも増えていく。ここからわかるのは、読書時間の二極化という現象が、すでに小学校1年生の段階から始まっているということである。

 また、「本などに感動する」保護者の子どもほど読書時間が長くなっていた。保護者が本を読み感動する姿を身近に見ているかどうかが、子どもの読書傾向に影響しているということである。