激変緩和措置の導入によって
3年間は負担増が最大月額3000円に

 75歳以上の人が、2割負担になるかどうかの線引きは、「所得」と「収入」の二つで判断される。

 まず、所得は、年金や勤務先からの給与などの合計から、必要経費や各種控除を差し引いた課税所得が28万円以上あるかどうかを確認する。課税所得が28万円未満なら、1割負担のままだ。

 課税所得が28万円以上でも、全ての人が2割負担になるわけではない。

 課税所得のほかに、収入にも判断基準があり、単身者は年収200万円以上が引き上げライン。夫婦2人など、75歳以上の人が2人以上の世帯は、収入の合計が320万円以上になると2割負担になる。

 ただし、激変緩和措置として、22年10月から3年間は、外来(通院)での窓口負担の増加額が最大でも月額3000円までに抑えられることになっている。

 例えば、1カ月当たりの医療費が5万円の場合、1割負担だと窓口で支払う自己負担額は5000円。2割負担になると、自己負担額は1万円となり、これまでより5000円負担が増えることになる。だが、25年10月までは経過措置によって、負担が増えた5000円のうち、患者が支払うのは3000円までになる。実質的に負担するのは8000円なので、当面は、通院の医療費が単純に2倍になるわけではない。

 さらに、今回の引き上げ対象となる所得層には、高額療養費に通院のみの上限額(外来上限特例)が、もともと設定されている。