制裁は北朝鮮に
新たな脅威を与えている

 中央日報によれば、金正恩政権に入り、安定的であった為替レートと食糧価格が急激に変動し、不安定性が増幅しているという。

 中央日報は同記事で次のように報じている。

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●韓国統一研究院が22日まとめた「北朝鮮の党中央委員会第8期第3次全員会議の分析および対応方向」報告書は「10月、市場の為替が急落した後、低い水準を維持している」一方、「物価が上昇の勢いを見せている」「コメ価格は1キロ0.5~0.6ドル水準から0.9~1.4ドル水準に急騰している」と指摘している。

●西江大学の金英秀(キム・ヨンス)教授は「連動性を見せてきた為替レートと穀物価格のパターンが崩れている」「北朝鮮の経済システムに変化が生じたとみられる」と説明した。

●英ファイナンシャルタイムズ紙(FT)は「北朝鮮が為替レートと食糧価格の変動で打撃を受けている」「これは国家の非公式の取引システムである市場をかく乱させ、不安定性を増加させる可能性がある」と懸念を伝えている。

●脱北者のFTとのインタビューでは「食品と生活必需品の価格が3~10倍まで急増した」として「金正恩政権が徐々にまひしている感じ」と説明した。

 北朝鮮に対する制裁が新たな局面を迎えているのか。北朝鮮はこれをいかに生き延びるのか。暴発はしないのか。米国は一方的な制裁解除は考えていないようである。北朝鮮がこれにどう反応するかである。しかし、北朝鮮にとっては進むも退くもイバラの道である。

 北朝鮮にとって今までになかった局面であることは間違いなさそうである。

(元駐韓国特命全権大使 武藤正敏)