転職サイト「ビズリーチ」などを運営する巨大スタートアップ、ビジョナル。『突き抜けるまで問い続けろ』では創業後の挫折と奮闘、急成長を描いています。ビジョナル創業者、南壮一郎氏の経営に大きな影響を与えた人物。それが楽天グループ代表の三木谷浩史氏。三木谷氏は、経営者の質は決断のスピードと量で決まる、といいます。(聞き手は蛯谷敏)
■インタビュー1回目▶「楽天グループ代表三木谷浩史氏「アントレプレナーだけが、世の中を変えられる」」
■インタビュー2回目▶「楽天グループ代表三木谷浩史氏「成功するには100%じゃ足りない。120%出し切る」」
――ビジョナル創業者の南壮一郎さんは、三木谷さんから「経営者の質は決断のスピードと量で決まる」と教わったそうです。
三木谷浩史氏(以下、三木谷):よく覚えているね(笑)。ただ結局、携帯キャリア事業についても数千億円のビジネスで、それを瞬時で決められるかどうか、ということです。
サラリーマン経営者だと、どうしてもリスク回避志向になりがちますよね。でも、実業家は社会を変えるような大きな決断ができる。今ある情報を基に、頭の中で思考を巡らせて、その時に一番合理的な判断を下す。
僕はこれをいつも、右脳と左脳のキャッチボールと言っているですが、右脳で判断して「これはいける、やろう」と決める。その後、もう1回左脳で数字が当てはまるのかという計算を、スプレッドシート上でやってみる。ビジネスはスプレッドシートにできたら勝ちですよ。
――頭の中で右脳と左脳がキャッチボールをして、考え抜いていくんですね。
三木谷:そうですね。例えば、携帯キャリア事業は技術的にすごく難しいけど、ビジネスモデルを見ると、基地局があって、通信範囲があって、通信スピードがあって、料金があるというシンプルな要素で考えることができます。その中で、他社との競争も含めてどう戦っていけばいいかを考えていくわけです。
もちろん、失敗することもあると思うんです。失敗したら失敗したで仕方がないという割り切りも必要です。
普通は躊躇(ちゅうちょ)しますよね。でも、判断を下すためにアクセルとブレーキがあったとすると、僕の場合は、ブレーキが壊れていたりするんです(笑)。「もっとアクセル踏めるんじゃないの?やっちゃおうぜ」と思ってしまう。恐らく、南さんもそうだと思うけど、もうそれは性格なんです。
あとはしつこいこと(笑)。勝つまでやり続ける。やると決めたプロジェクトは、何回頓挫しても続ける。それこそが実業家だと、僕は思っています。(談)
■インタビュー1回目▶「楽天グループ代表三木谷浩史氏「アントレプレナーだけが、世の中を変えられる」」
■インタビュー2回目▶「楽天グループ代表三木谷浩史氏「成功するには100%じゃ足りない。120%出し切る」」
今回、紹介したエピソードのほか、ビジョナルの創業ノンフィクション『突き抜けるまで問い続けろ』では、起業の悩みから急拡大する組織の中で生まれる多様な課題(部門間の軋轢や離職者の急増、組織拡大の壁)に、ビズリーチ創業者たちがどう乗り越えてきたのかがリアルに描かれています。