一つは、会社として従業員に対してコミットメントすること。コミットにはいくつかの意味があるが、この場合は責任を伴った関与や参加を意味する。従業員や部下に対して興味を持つこと、家族のように見守り、優しく愛情のある態度で接することで、従業員の会社に対する信頼や忠誠心もおのずと高まるのだ。
次にコアバリューを明確に持つこと。会社の価値観の中心となるコアバリューが明示されていなければ、従業員は判断も行動もできず、したとしてもバラバラになってしまうだろう。チームが共に同じ方向を向いて進むためにも、コアバリューは欠かせない。
最後にチームワーク。この連載でも随所で触れてきたが、各人がもつ価値観の共有やオンボーディングでのカルチャーマッチング、コミットメントやコアバリューなど、諸条件や環境が整えば、チームワークは自然とつくられていく。そして、こうして集まった従業員たちが自分たちの仕事を重要なものと考えて業務に向かうことがエンゲージメントカンパニーの源泉となるのだという。
すべての講義を終えたアンリ・ジャールは、生徒たちに向かって最後にこう伝えた。「みなさんの明日からの行動が、会社を、従業員を、社会を変えていきます」。本連載でアンリ・ジャールが伝えようとしたすべてを伝えられたわけではない。しかし、これからの企業に必須となるエンゲージメントカンパニーのヒントは見つけられたはずだ。これを機に一人でも多くの人が、エンゲージメントカンパニーを目指してくれることを強く願う。