どんな時代でも生き残れる不動産投資家になるための極意とは何か? 不動産投資で利益をあげ続けるためには、基本となる知識やノウハウを学ぶ必要があります。ハーバード大学デザイン大学院で最先端の知識を学び、それに自身の体験から得たノウハウをミックスして体系化したハーバード式不動産投資術』(上田真路著、ダイヤモンド社)が発売されました。本連載では、世界のどこでも通用する、遍的で再現性のあるナレッジである不動産投資術について、同書の中から抜粋してそのエッセンスをわかりやすくお届けします。良い不動産をデザインするとは、どういうことか? 驚異のリターンを実現するファイナンスの極意とは? 不動産投資のリスクをどうコントロールしたらいいのか? などについて、実際の事例(ケース・スタディ)を踏まえてそのメカニズムを解き明かしていきます。不動産投資を始めたいと思っている人、すでに始めている人、さらに上を目指したい人必読です。好評連載のバックナンバーこちらからどうぞ。

不動産投資の<br />リスクコントロールできる<br />アルファを創造リストとは?Photo: Adobe Stock

リスクをコントロールできる人が、最強の投資家

 不動産投資のリスクを低減するために、クリエイティブにアルファを創り出すことはできるのだろうか?

 もちろん可能だ。特に新築開発物件においては、まっさらなキャンバスに絵を描けることから創造できるリスク低減アルファが多いのだが、中古物件や相続物件でも十分にアルファを生み出せる。

 以下に、リスク低減のためにできるアルファ創造リストを共有しておこう。

 このリスク低減アルファは面白いもので、実質収益(NOI)がほぼ増やせないような普通の賃貸アパートでも、劇的にローン後キャッシュフロー(CFAF)や売却時利益が増やせる。リスクをコントロールできる人は、実は一番強いのだ。

 実は、僕自身、リスクに対してかなり精神的にまいってしまう体質であることを告白しておく。初めての更地からの開発投資案件だった神楽坂のケースでは、建設中リスクを抱え、眠れない日々が半年以上も続いた。おかげで体重は激減し、顔はげっそりと痩せ細ってしまった。

 今思えば、リスク耐性ダイエットだとも笑い飛ばせるが、当時は、リスクをどうコントロールして、対峙し、そしてそこからどうアルファを生み出せばよいのか、まったくの手探りだったため、見当もつかなかった。

『道は開ける』というD・カーネギーが書いた世界的名著をご存じだろうか。「悩みにたいする対処法をしらなければ早死にする」という言葉を拾い読みしてぞっとしたと同時に、不動産投資では自分が扱える(解決できる)悩みが多いことにも気づいた瞬間だった。

 ベッドに入って、あれこれリスクを悩み始めて寝付けなくなると、よく、カーネギーの本を開いたものだ。つまり自分が取り扱える問題に淡々と取り組むこと。取り扱えない問題は、放っておくか、時が解決してくれるのを待つ。至言だ。ではどのようにリスクと対峙して、そのリスクをもアルファに変えられるかのリストを見てみよう。

リスク低減のためにできるアルファ創造リスト

・空室リスクを低減するアルファ(民泊活用、戸数を増やす、賃貸付けのチャンネルを変える)
・銀行ローン返済リスクを低減するアルファ(月返済が軽くなる超長期借入ができる建物構造)
・建設リスクを考え直すアルファ(そもそも安すぎる建設会社を避ける)
・不況時のリスクを低減するアルファ(住宅は不況に強い! 住宅に用途変更可能にする)
・家賃不払いリスクを低減するアルファ(不動産仲介業者との強い連携、弁護士チーム)
・建物の老朽化リスク(構造種別、陳腐化しないデザイン、あえて維持更新しない)
・管理のリスク低減(クレーム対応に強い不動産管理会社や不動産専門の弁護士をチームに!)
・リザーブを積む(余剰資金を積んでおく)

上田真路(うえた・まさみち)
建築家・不動産投資家
KUROFUNE Design Holdings Inc. 代表取締役CEO
ハーバード大学デザイン大学院で不動産投資と建築デザインを学び、投資理論とデザインの力を融合させたユニークな不動産投資を行う。
鹿島建設入社4年目に不動産投資を開始。数々の不動産投資セミナーに足を運び、不動産関連書籍を数十冊読破。そんな中で出会ったメガ大家集団をメンターに持ち、指導を仰ぎながら不動産投資をスタートする。最初に行った東京・神楽坂での新築マンション開発では超狭小地に苦労し、辛酸を舐めつつも独自の不動産投資スタイルを確立する。現在5棟の超優良物件を保有。保有物件の中では投資額が4年間のうちに26倍になったものもある。
1982年高知県生まれ。早稲田大学理工学部建築学科、同大学院卒業後に鹿島建設入社。
大学院卒業時にリゾートホテル開発プロジェクトにより早稲田大学小野梓芸術賞を受賞。
同社では国内外で建築設計や大規模な都市開発業務に従事。鹿島建設社長賞、グッドデザイン賞、SDレビュー賞などを受賞。2016年、ハーバード大学デザイン大学院(GSD)へフルブライト留学。2018年、GSD不動産デザイン学科を卒業、外資系不動産ファンドでの投資業務を経験した後、KUROFUNE Design Holdings Inc.(デザイン事務所兼不動産ファンド会社)を創業し独立。現在はハーバード学生寮生活で得た原体験をもとに、住まいと学びを融合させた国際学生寮「U Share」を開発運営する。また、慶應義塾大学SFC特任講師、早稲田大学特任講師として「不動産デザイン」について教えている。初の著書に『ハーバード式不動産投資術 資産26倍を可能にする世界最高峰のノウハウ』(ダイヤモンド社)がある。