損益計算書には利害関係者が並んでいる

 ヒカリは自宅に戻ると、ゼミで1年間かけて読んだ分厚い管理会計テキストを書棚から取り出してページをめくった。そのテキストに参考になる話が載っていたことを思い出したからだ。書き出しはこのようになっていた。

〈損益計算書には、会社の利害関係者が大切な順に表現されている〉

 最初に読んだときは特に気にはならなかったこの一文が、妙に気になり出した。

 ヒカリはロミーズの損益計算書を眺めた。

 最初に書かれているのは「売上高」だ。売上高はお客さんがお店に払った代金の合計だから、ロミーズにとっていちばん大切なのは、料理を食べに来てくれる顧客ということだ。顧客がいなければ商売が成り立たないのだから、当然といえば当然だ。

 では、二番目に大切な相手は誰なのか?売上の次に出てくるのは「材料費」だ。つまり、次に大切なのは、材料を提供してくれる仕入れ業者。まあ、そうだろう。

 三番目は「人件費」。ロミーズでいえばアルバイト代だ。

 本当にそうかな……。ヒカリは違和感を覚えた。ロミーズは業績を改善するためにアルバイトを減らそうとしている。アルバイトが大切なんて間違いじゃないかしら?とヒカリは思った。

 人件費の下は「家賃・管理費」「その他費用」「減価償却費」と続く。それぞれ、ビルのオーナー、水道局や電力&電話会社、広告代理店、日用品の納品業者、設備メーカーや内装業者だ。「売上高(表の1)」と「変動費(2)」である材料費との差額が「限界利益(3)」だ。ここから人件費、家賃・管理費、その他費用、減価償却費の合計である「個別固定費(4)」を引いた差額が「貢献利益(5)」だ。千の端店はこの数字がマイナスになっている。

(貢献利益が赤字ってことは、会社に貢献していないってことかしら?)