――アロデニアというと帯状疱疹の初期症状が有名ですね。

 僕の研究では、アロデニアのひどい人は帯状疱疹のウイルスが神経のサテライトである三叉神経節に潜んでいて、それが活性化するときに三叉神経が過敏になって片頭痛を誘発することがあると分かっています。なので、予防ワクチンを打って、帯状疱疹に対する免疫力を上げてあげると頭痛も軽くなり、アロデニアの症状も軽くなるということがあるようです。すべての片頭痛持ちに当てはまるわけではありませんが。

――片頭痛の患者さん以外でも、マスク頭痛を訴える患者さんはいますか?

 いらっしゃいますね。マスクをすると結構耳が引っ張られるじゃないですか。そうすると筋肉が緊張して突っ張る。あとはマスクで顔を覆っていると表情筋をあまり使わないですよね。自然に顔面の筋肉の動きが制限されるし、口もあまり大きく開けられないので筋肉が緊張しやすくなり、筋肉の緊張が原因の緊張型頭痛がひどくなる患者さんが増えています。

 もともと片頭痛持ちではないけれどこの頃なんとなく頭が痛くなるという人は、緊張型頭痛の可能性が高いです。緊張型頭痛は、在宅ワークで前かがみの同じ姿勢を取り続けるなどの理由でもなります。

マスク頭痛の予防法は?
二重マスクは要注意

――マスク頭痛の予防法を教えてください。

 一番はマスクをしないことですが、そうもいきませんからね。なので、周囲に人がいないことを確認するか、人がいる場合には十分なソーシャルディスタンスを保ってマスクを外し、深呼吸して肺の下の方にたまった二酸化炭素を出してあげるのがいいでしょう。だいたい3回ぐらい、ゆっくり深呼吸するのがお勧めです。

 あとはブドウ糖を含んだあめをなめること。ブドウ糖を摂取すると血管が収縮しますのでね。片頭痛は血管が広がることで起きるので、逆に縮めればいいという理屈です。