――濡れマスクもいいと聞いたことがありますが。

 空気が乾燥する冬場はいいと思います。乾いた空気を吸って喉がカラカラになると、口の粘膜の三叉神経が刺激されるので、それを防ぐために濡れマスクが推奨されています。でも、梅雨時のような雨の多い時期には不要です。わざわざ湿らせなくとも、湿気は足りているので。

――早くマスクを外せる日常を取り戻すことが、マスク頭痛の一番の予防法ですね。

 そうですね。僕が今心配しているのは、二重マスクです。この頃増えているので、マスク頭痛はさらに増えると予想しています。

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 痛みは、私たちの生命や健康を守るための大切な警報であることが分かっている。マスク頭痛も同様で、我慢したり、鎮痛薬で抑えこんだりすれば済むような問題ではない。

 慶應義塾大学理工学部(奥田知明教授)は去る5月24日、花王、鹿島アントラーズ・エフ・シーおよび産業技術総合研究所と共同で、「飛沫抑制と通気性を両立させたマスク」を開発し、マスクの感染予防効果と快適性を評価することで、大規模イベントのより安全な開催を目指す研究プロジェクトを開始したと発表した。実証試験は、5月26日(水)に県立カシマサッカースタジアムでの2021明治安田生命J1リーグ第16節鹿島アントラーズ対セレッソ大阪戦から行われている。

 一番いいのはマスクなしで大丈夫な日常を取り戻すこと。それが無理なら、飛沫は通さないが通気性はよく、しかも熱がこもらないマスクが一刻も早く欲しい。

(監修/東京女子医科大学脳神経外科頭痛外来客員教授 清水俊彦)

清水俊彦(しみず・としひこ)
東京女子医科大学脳神経外科頭痛外来客員教授、獨協医科大学神経内科臨床准教授。1986年、日本医科大学卒業。東京女子医科大学脳神経外科学教室入局。1998年、東京女子医科大学脳神経外科 頭痛外来講師。2004年、獨協医科大学神経内科講師。2011年より、現職。現在、東京女子医科大学をはじめとする複数のクリニックで頭痛外来を担当。月に一度は伊豆大島にも診療に出かけている。