20万部のベストセラー待望のマンガ版『マンガ このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』が発売された。前作で「転職は悪」という風潮に一石を投じ、日本人の働き方を変えた北野唯我氏が、今回は「自分にはキャリアの武器が何もない」と思っている主人公の奈美(もうすぐ30歳)の悩みに答えを出す。「やりたいことがなければダメ」「S級人材以外は有利な転職は無理」など転職の常識が次々と覆される。この連載では、本書から特別に一部を抜粋して紹介する。

「転職した方がいい会社」「転職しない方がいい会社」の差Photo: Adobe Stock

転職エージェントのビジネスモデルを知る

 無料で企業を紹介してくれる転職エージェントは、求職者にとっては魅力的な存在です。転職先が決まっても、成約料を要求されることもありません。

 けれども、転職エージェントから紹介される企業だけで、転職先を絞ってはいけません。それには理由があります。

 転職エージェントは、成果報酬型のビジネスモデルであることがほとんどです。企業に求職者を紹介し、内定・入社すると報酬が発生します。そして、その報酬を受け取る権利は「転職希望者が企業と最初に接触した時点」に確定します。

 つまりは、早い者勝ち。たとえば、ある人が、2つの転職エージェントに登録していたとします。そして、両方のエージェントから同じ企業を紹介されて、最終的に入社したとしましょう。そのときに報酬をもらう権利を持つのは、先に企業との接点をつくったエージェントです。

 このような事情があるので、転職エージェントの多くは、「ぜひ、早く会ってみてください!」と企業を紹介し、積極的に面接を勧めてくるのです。

 もう1つ、企業が高い報酬を払ってまでエージェントを使う理由も考えてみましょう。もちろん、優秀な人材がいたら、お金がかかってもいいから採りたいという企業もあるでしょう。けれども、転職エージェントを使いまくっている企業の中には、直接応募では受けてくれる人がいないとか、離職率が異常に高くて人が足りていないという場合もあるので、注意してください。

 ただ、数年前に比べ、転職エージェントの中にも、求職者のキャリアにきちんと向き合って転職活動を支援するコンサルタントが増えているようです。実際、キャリア相談のサービスを組み込んでいるエージェントもあります。転職エージェントのビジネスモデルを理解しつつ、うまく活用していきましょう。

 本来は転職を決断する前に「自分のキャリアをどうしたいのか」を決めるべきなのですが、「そこがモヤモヤして、よくわからない」という人も、現実的には多いです。最近は、キャリア相談に特化した有料のサービスを提供する会社(例:ポジウィルキャリア)もあります。転職エージェントに具体的な会社の相談をする前に、そうしたサービスを使って自分のキャリアプランをしっかり決めるのも一案です。

(※この記事は、『マンガ このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』からの抜粋です。)