20万部のベストセラー待望のマンガ版『マンガ このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』が発売された。前作で「転職は悪」という風潮に一石を投じ、日本人の働き方を変えた北野唯我氏が、今回は「自分にはキャリアの武器が何もない」と思っている主人公の奈美(もうすぐ30歳)の悩みに答えを出す。「やりたいことがなければダメ」「S級人材以外は有利な転職は無理」など転職の常識が次々と覆される。この連載では、本書から特別に一部を抜粋して紹介する。

転職したあと活躍できる人、活躍できない人の違いPhoto: Adobe Stock

転職したあと活躍できる人、活躍できない人の違い

 転職後に活躍できるのは、アンラーニングできる人です。

 アンラーニングとは、文字通り、これまで学習したことを忘れるという意味です。一度学んだ知識や価値観を意識的に捨て去って、再び学び直すことをいいます。

 もちろん、前職で得た経験や知識には、新しい職場でも役立つことも含まれています。ですが、「前職では、こういうやり方をしていたから」「前の職場ではこうだったから」というこだわりがあるせいで、うまくいかないことも多いのです。

 私はかつて、新卒で入社した日系企業で、「会議のとき、新人は上司の話に対して意見を言ってはいけないもの」という文化を当然のものだと叩き込まれていました。実際、会議の場で、役員に「何でも言っていいぞ、無礼講だ」と言われた同期が、その言葉を額面通りに受けて発言し、役員にキレられた場面に遭遇したこともありました。

 そうした経験があったので、その後、転職した外資系企業では、当初、会議に出ても自分の意見を言わずに先輩社員の話を黙って聞いていたのです。

 そんなある日、会議のあと、上司に呼び止められました。「どうして君は意見を言わないんだ。何でも言いなよ」と。そして、「発言しないならノーバリューだ(価値がない)」とまで言われたのです。

 次の会議で私は、別人のごとく、発言しました。まだ、ろくに資料すらつくれないのに、存分に自分の意見を言い、相手の発言にも質問を投げるなど、多くの発言の機会を得ました。すると議論は盛り上がり、上司からも「いいね、この調子で続けてよ」と褒められ、評価をしてもらえたのです。

 前職の文化とは大違いです。その職場ごとに、何が「善」で、何が「悪」かが異なることを痛感しました。

 新しい組織の一員になったなら、そこで求められている役割やコミュニケーションの方法を学ぼうという姿勢が重要です。たとえどんなに知識やスキルを持っていても、周りの人たちとコミュニケーションが取れなければ、それらを生かすことはできません。

 自分が自由に能力を発揮するために、アンラーニングが必要なのです。

(※この記事は、『マンガ このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』からの抜粋です。)