全国紙社会部デスクによると、100人のうち99人は起訴猶予で、1人は死亡で不起訴。政治家は広島の市町長2人、広島県議14人、広島市議13人、ほかの市議8人、町議3人で、受け取った金額は5万~300万円と幅があり、そのうち22人は複数回にわたり受領していた。

 しかし、東京地検は「(現金受領は)いずれも受動的だった。一定の人物を選別して起訴するのは公平性の観点から疑問があった」(山元裕史次席検事)と、全員を不起訴とした理由を説明していた。

検察審査会は
どこまで踏み込むか

 これに市民団体は異議を唱えたわけだ。

 最近、検察審査会(検審)という存在がニュースで取り上げられることが多くなったが、実は検審のメンバーは司法の専門家ではない。無作為に選出された日本国民(公選法が定める有権者)で構成されるシロウト集団だ。

 検察官が独占する公訴権に民意を反映させ、不当な不起訴処分を抑制するために各地裁やその支部に設置されている。

 最近では、菅原一秀前経産相が夏祭りや盆踊りなどの行事を主催する町内会や商店街にご祝儀、故人の枕元に飾る枕花や香典を提供したとして、いったんは特捜部が不起訴(起訴猶予)としながら「起訴相当」と議決し、衆院議員辞職と略式起訴(略式命令で罰金40万円が確定)に追い込んだことは記憶に新しい。

 市民団体に刑事告発されても、従来であればそのまま不起訴で終わっていたはずだが、最近はインターネットの普及で、こうしたニュースに対するコメントやSNSなどで意見を投稿する人たちが増えた。「政治とカネ」に対する目はシビアになり、検審のメンバーもプロから言いくるめられるのではなく、こうした声を受け入れている結果なのだ。