加えて、そもそも「一流企業」を証券取引所が決める必要はない。米経済誌「Forbes(フォーブス)」が毎年発表するランキングのようなものでもいいし、米国のS&P500種株価指数のような、情報会社が発表する株価指数の採用銘柄を基準に判断するのでも構わない。

 ランキングは目的に応じて作るといい。また、株価指数はTOPIXのように「統計指標」「デリバティブの原資産」「インデックス運用のターゲット」「運用評価のベンチマーク」といった複数の機能を兼ねると、例えば、「インデックス運用のターゲット」としては最適ではなくなる場合がある。

「東証プライム指数」が誕生しても
上場企業や投資家は慌てなくていい

 今後、プライム市場の上場銘柄を対象とした株価指数が作られて、この指数をターゲットとするインデックスファンドが設定されたり、デリバティブが上場されたり、年金運用などのベンチマークに採用するように誘導されたりするのかもしれない。だが、上場企業も投資家も、しばらくは慌てるに及ばない。

「東証プライム指数」に投資する資金が、少なくとも10兆円を超えるくらいから気にし始めることで十分だろう。

 企業は、「プライム入り」を気にするよりも、本業で収益を上げることに注力すべきだ。社長の意地だけを理由にプライム入りを目指すのは本末転倒。収益が十分上がれば、株価が高く評価されて流通時価総額100億円はクリアできるだろうし、成長資金が必要な場合は株式市場で資金調達ができるだろう。

 市場区分がどこであっても価値のある企業を投資家は放っておかないだろうし、良いビジネス・アイデアの下に投資家とのコミュニケーションを的確に行うなら資金調達は可能なはずだ。

 もちろん、相対的に小規模な企業でも株式が取引できて、株式で資金調達ができることに意義はある。しかし、流通時価総額が100億円に満たないような会社は、上場を維持するコストが上場のベネフィットに見合うのかどうかを冷静に検討する必要があるだろう(各社の事情によるので、一様ではないはずだ)。