世襲議員が多く誕生することで、政治家がひ弱になり、社会の脆弱性がさらに増し、ひいては国際社会の中での国家としての日本の地位も低下してしまう。これが筆者が政治の世襲に反対してきた最大の点だ。

 「風が吹けば、桶屋が儲かる」的な論理の飛躍に思われるかもしれない。だが、これは紛れもない事実なのである。

常識破りの小泉元首相ですら
世襲の誘惑には勝てなかった

 冒頭で触れたいま話題の小泉家、その選挙区を取材した。

 小泉元首相の地元は、横須賀市、三浦市を中心とする神奈川第11選挙区だ。

 そこは「小泉王国」と呼ぶにふさわしい。なにしろ、小泉純一郎氏で三代目。仮に進次郎氏が当選を果たせば、小泉家が一世紀以上にもわたって議席を独占することになる。

 この地域での「看板」の威力はすさまじい。おそらく「小泉家」の血統を引いているとなれば、猫も、杓子も、ライオンも、その中身に関係なく、選挙での勝負になるだろう。

実際、同地区で過去に出馬した共産党候補の小泉安司氏は、同姓のためか、それ以前の共産党候補の2倍以上の得票数を得ている。

 もちろん、「看板」の威力だけではない。世襲問題の“肝”である、「地盤」「かばん」も進次郎氏に有利に働いている。拙著『世襲議員のからくり』から引用しながら、検証しよう。

〈2008年9月27日、横須賀市で開かれた「小泉純一郎同志会」の席上、次男の進次郎が登壇し、次期衆院選への立候補を表明した。先に引退表明を行なっていた純一郎氏からの、事実上の後継指名ということになる〉(「世襲議員のからくり」文春新書)。

 2001年の首相就任以来、小泉元首相は永田町の常識を次々と覆してきた。自民党内に敵を作ることを恐れず、実際、多くの同僚議員たちを党や政界から追放してきた。その彼ですら、世襲の誘惑に克てなかったというのだ。世襲問題が、いかに根深いかを証明している。

 昨年9月のその後援会総会で、小泉氏は「親バカかもしれないが」と断ったうえで、「自分の27歳の頃よりも、進次郎はずっと優秀だ」とも語っている。