他の主要国と比べて安くなったのは賃金だけではない。日本市場自体が他の市場に比べて大きく割安に沈む中、株価指標で見た評価が安くなってしまった企業も少なくない。PBR(株価純資産倍率)を用いてそうした企業をあぶり出してみたところ、意外な顔触れが上位に並んだ。特集『安いニッポン 買われる日本』(全24回)の#4では、「安売り」されている企業のリストをお届けする。(ダイヤモンド編集部 竹田孝洋)
日本の上場企業は「大バーゲン」状態
安売りされている会社の意外な顔ぶれ
その企業は割安なのか、割高なのか――これを測る株式市場の指標に、PBR(株価純資産倍率)がある。株価が1株当たり純資産(自己資本)の何倍かを示すものだ。
PBRが1倍より小さければ、株価は割安と判断できる。逆に1倍を超えて大きければ大きいほど、株価は市場からの成長期待を反映して割高になっているといえる。
例えば米国のハイテク企業でいうと、アップルは約38倍、テスラは約28倍、アマゾン・ドット・コムが約19倍だ。こういった米国のテックガリバーの成長に対して、投資家が大きな期待を寄せている様子がうかがえる。
では日本企業はどうか。
まず日本の株式市場全体で見ると、東証1部の7月21日時点の平均PBRは1.29倍。10年前の約1倍から上昇はしているが、PBR1倍割れの企業が4割強にも上っている。これは他の先進国の市場と比べて圧倒的に割合が高い。原価割れ、すなわち企業の解散価値以下で売られている会社が多く存在するということだ。
この「日本企業、原価割れで大バーゲン」な状況の原因となっている企業は具体的にどこなのか。今回、10年前と比べてPBRが低下し、結果として日本市場の足を引っ張っている企業をあぶり出してみた。
その顔触れを見ると、「あれ?成長企業じゃなかったっけ?」という意外な企業が数多く並んでいることが明らかになった。次ページから、「安売りされている日本企業」を実名ランキングで公開していく。