サーキット走行を想定した
さまざまな走りのメカニズムを標準で装備

 パワーパックの高い実力に導かれ、思わず右足を踏み込むと、たちまちとんでもないスピードに達する。パフォーマンスはスーパースポーツと同等。0→100km/h加速は3.9秒でクリア。Mドライバーズパッケージが装着された試乗車のトップスピードは290km/hに達する。

 アクセルペダルを深く踏み込んだ場合のパワーは、ときに“過激”といいたくなる。510psという最高出力もさることながら、2750rpmから発生するターボ付きエンジンならではの650Nmという大トルクが強烈だ。穏やかな走りに終始をするためには、強い自制心が必要である。

 大トルクを迂闊に炸裂させると、たとえドライ路面であってもトラクション能力が物足りなく思えてしまう。モデルレンジで史上初となる4WDバージョンが設定されると聞いて、“当然だろう”と思うほどのじゃじゃ馬ぶりだ。

 新型M4は、「ポテンシャル向上こそが開発の主目的だった」という新開発S58B型エンジンを筆頭に、サーキット走行を想定したさまざまな走りのメカニズムを標準で装備する。電子制御の可変減衰力ダンパーを含むアダプティブMサスペンションや、やはり電子制御されるMスポーツディファレンシャル、大容量のMコンパウンドブレーキシステムなどフットワークを支えるアイテムも同様の仕立てで、さらに、ファットで薄い前後異径の大径タイヤを装着する。端的にいって、乗り味はスパルタンだ。

(CAR and DRIVER編集部 報告/河村康彦 写真/小久保昭彦)

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