65歳になるまでの9年間
収支はどうなる?

 Dさん、個人事業の開業おめでとうございます。順調な船出をなさったようで何よりです。早速、Dさんのご希望がかなうかどうか試算してみることにしましょう。

 まずは、お仕事について。経費を引くとまだ大きな収入には至っていないとのことですが、気負って仕事をする必要はないのではないかと思います。Dさんはお勤め時代にしっかり資産形成をなさっていますし、どちらかといえば、これから第2の人生を謳歌したいという気持ちが強いように感じます。もちろん、大きな収入を得たいという希望があるのであれば、65歳くらいまでもう一頑張り、仕事をする必要があるでしょう。

 Dさんは現在56歳です。マイカーでの日本一周を65歳で実現するとして、9年間の収支から試算していきます。

 世帯年収はDさん240万円、妻120万円、株の配当金50万~60万円と記載があります。配当金は固めに50万円とすれと、年間の収入額は410万円になります。また、コロナ収束後は年間120万円程度の収入増を見込んでいるとのこと。ただ、コロナの収束がいつになるのか推測できないことから、今回は厳し目に考えてこの120万円は考慮しない形で試算します。

 支出はご夫婦の小遣いを除くと月間29万5000円、年間354万円です。これにご夫婦の年間の小遣い52万円を加えると年間支出は406万円になります。年間収入は410万円、年間支出が406万円ですから黒字額は4万円になります。

 ただし、社会保険料と国民年金は現在支払い猶予中と書かれているので、この支払いが加わると年間の収支は赤字になると考えられます。ご夫婦の年収から逆算して、その赤字額を30万円としましょう。65歳までの9年間だと累計赤字額は270万円になりますが、厳し目に見積もって、300万円とします。

 一方、Dさんが保有する金融資産は、預貯金6600万円と投資信託+REITの1800万円、国債1000万円。合わせると9400万円になります。

  Dさんが65歳時点の9年後に、この9400万円はどうなっているでしょうか。9年間の赤字額300万円を差し引くと9100万円になります。先述の通り、試算上はコロナ収束後、追加で仕事を受けた際の収入(120万円)は除いています。もしDさんが65歳になるまでの9年間の中で3年以上、120万円の収入増があった場合は、65歳までの9年間で金融資産を取り崩すことにはならないと思います。