まず、擬態することを身につけましょう

 人は皆、大なり小なり生きづらさを抱えています。

 しかし、多くの人は表面上「私はこの社会でうまくやっています!」と見えるように擬態して、世の中に適応しています。

 いろんなことで生きづらさを感じている人は、この「周囲に溶け込む擬態」の工夫をせずに、問題に直接対応しようとし、疲れ果てていることが多いのです。

 あなたも、うまく擬態することができるようになれば、悩みの多くは「悩まなくてよかった」と思えるようになります。擬態すれば、人間関係は少なくとも「単純に辛いもの」ではなくなるし、周りからのサポートも得られるようになったりします。

「幸せそうな人」の擬態をすれば、少しずつ人生という荒れた海をやり過ごせるので、船(あなたの感情)は転覆せずに進めます。

 上司に好かれてうまくやっている人の本心は、実は、あなたのようにその上司が大嫌いなのかもしれません。

 理想のパートナーと出会ったように見える人も、本当は相手にぶつけたい不満をたくさん抱えているのかもしれません。

 自分らしく生きているように見える人だって、その分「やりたくないこと」をしながら、人一倍の努力をしているかもしれないのです。

 実際、その人の本心なんて、外から見てわかることは、ほとんどありません。ただ、それを社会の中で見せないように上手に擬態して、余計なストレスと距離を取ることで、その人たちは快適さを手にしています。

 生きづらさを感じている人と、そうではなさそうな人の差は、たったこれだけです。

あなた以外の「幸せそうな皆」がやったたった一つのことバク@精神科医
元内科の精神科専門医 中高生時代イジメにあうが親や学校からの理解はなく、行く場所の確保を模索するうちにスクールカウンセラーの存在を知り、カウンセラーの道を志し文系に進学する。しかし「カウンセラーで食っていけるのはごく一部」という現実を知り、一念発起し、医師を目指し理転後、都内某私立大学医学部に入学。奨学金を得ながら、勉学とバイトにいそしみやっとのことで卒業。医師国家試験に合格。当初、内科医を専攻したが、医師研修中に父親が亡くなる喪失体験もあり、さまざまなことに対して自信を失う。医師を続けることを諦めかけるが、先輩の精神科主治医と出会うことで、精神科医として「第二の医師人生」をスタート。 精神科単科病院にてさまざまな分野の精神科領域の治療に従事。アルコール依存症などの依存症患者への治療を通じて「人間の欲望」について示唆を得る。現在は、双極性障害(躁うつ病)や統合失調症、パーソナリティ障害などの患者が多い急性期精神科病棟の勤務医。「よりわかりやすく、誤解のない精神科医療」の啓発を目標に、医療従事者、患者、企業対象の講演等を行う。個人クリニック開業に向け奮闘中。うつ病を経験し、ADHDの医師としてTwitter(@DrYumekuiBaku)でも人気急上昇中。Twitterフォロワー4万人。『発達障害、うつサバイバーのバク@精神科医が明かす​生きづらいがラクになる ゆるメンタル練習帳』が初の著書。