日本語での大学入試受験は
5年で10倍に増加した
遼寧省大連市に、桜華高級中学という私立高校がある。20年秋に新設されたばかり。「サクラスクール」という通称が付けられていることからも分かる通り、日本語教育を売りとした学校である。近年では日本語コースがあることを売りとした私立高校が増えつつある。
その背景には、大学受験で英語の代わりに日本語で受験するという「裏技」が広がったことがある。同じ漢字文化圏の日本語ならば、短期間の学習でも高得点を取りやすい。英語が苦手な生徒でも受験で勝つための方法としてここ数年で一気に火が付いた。日本語での大学入試受験生は2016年の約9600人から2020年には9万6000人と、5年で10倍に増加した。
「受験テクニックとして日本語を学んだ人は確かに増えている。勉強し始めてから日本への興味を持ち、せっかく勉強したのだからと日本留学を選ぶパターンも少なくない」(楊社長)
また新型コロナウイルスの流行によって、なかなか帰国できずに留学先に取り残された人も多かった。こうしたリスクを考えると、日本の地理的な近さも留学先として再認識されているようだ。
2020年度の中国人留学生数は12万1845人(留学生全体の43.6%)と、前年度比2.1%のマイナスとなった。コロナ禍の影響が見て取れるが、留学生出身国の上位5カ国・地域の中では、減少幅は最も小さかった。コロナ禍が一段落すれば、さらに大量の中国人留学生が「日本の教育はコスパがいいね!」とやってきそうである。