感染対策の細かな規制より
選手が辟易したのは日本の酷暑

 競技会場では、ソーシャルディスタンスの確保など、感染防止対策はちゃんとしていたと評価するゴンチャシさん。しかしそれだけに、リポーター泣かせではあったようだ。

「メディアは指定されたエリア内からしか取材できません。いろいろ細かな規則もありましたし、通常とは違う状況なのでどうリポートするか難しかったですね」

 被写体が時おり見せる素の表情を捉えるのが彼のスタイルだが、アスリートとの距離が遠い上に、直前までマスクをしているのでシャッターチャンスを見つけるのに苦労した。

「また、無観客なのでいま一つ盛り上がらず、メダル授与式もリハーサルのような雰囲気が漂ったりしていました」

 それでも選手たちは、みんな参加できたことに喜んでいたという。

「ただしオリンピック村を出ることができなかったのは残念がっていました。競技に参加するだけでなく東京の街を散策したり、日本料理を味わったり、日本文化を体験することを楽しみにしていたのにできなかったわけですから」

 選手は競技終了後48時間以内に出国することとなっていたが、オリンピック村にいるだけではつまらないので試合が終わったらすぐに帰国する選手もいた。

 パンデミック真っただ中の開催ということで、今回は細かなルールが定められていた。いろいろ不便は強いられたはずだが、その点は選手からは大きな不満は聞かれなかったという。事前にわかっていたことなので覚悟はしていたのだろう。

「それよりもみんなが辟易(へきえき)していたのが日本の暑さですね。『暑いとは聞いていたが実際に体験するとオーマイガー。これはヤバイ暑さだ』と言っていました」とゴンチャシさん。