救護所や避難所で受けた医療は
災害救助法が適用されて費用は無料

 地震や津波、大雨などによって大災害が発生すると、けが人が多数発生したり、医療機関そのものが被災したりして、地域の病院や診療所だけでは、医療を必要とする患者すべてを受け入れられない可能性が高くなる。

 そこで、大きな災害が発生すると、厚生労働省に災害対策本部が設置され、広域災害救急医療情報システム(EMIS)などを通じて、医療機関の被災状況、けが人の状況など、現地からの情報が共有される。被害が甚大なものになると、被災地域以外の医療機関への広域搬送の体制が取られたり、国の災害医療チーム(DMAT)などに派遣要請が行われたりして、被災地の医療を応援する体制が作られる。

 また、地域住民も避難するのに精いっぱいで、本来なら受診に必要な健康保険証やお金などを持ち出せないことも想定されるため、健康保険を使う医療についても特別措置が取られるようになる。

 災害時の医療費の特徴は、次の2つに分類される。

(1)救護所や避難所での医療は、災害救助法に基づいて公費負担となる
(2)現地の医療機関での受診は、健康保険法に基づいて特例措置が取られる

 発災直後に、現地に駆けつけたDMATや日本赤十字社などの救護班から受けた応急的な医療行為(診療、薬や治療材料の支給、処置や手術その他の治療および施術、病院や診療所への収容、看護など)は、(1)の災害救助法に基づいて行われる。

 そのため、救護所や避難所などで受けた治療や看護、医薬品や治療材料などの費用は、健康保険ではなく、公費負担で国から救護班に支払われることになっており、患者に自己負担分が請求されることはない。加えて、災害の混乱で受け入れ可能な患者数をはるかに超えている場合、医療機関での診療にも災害救助法が適用されることもある。

 救助期間は、原則的に発災当日から14日以内。ただし、東日本大震災のように被害が広範囲にわたり、なかなか通常の医療体制に戻ることができないような場合は、状況に応じて災害救助法の適用が延長される。

 災害救助法による医療は、発災直後の混乱を一時的にカバーすることを目的としている。原則的に持病の治療や予防的な医療など、緊急性の低いものは対象外だが、発災直後の混乱期に受けた医療は、おおむね対象となると考えていいだろう。