他国にはない「外国人採用」という言葉

「なぜ外国人を採用するのか、原点に戻って考え直してほしい」という意見もある。登壇者からは「外国人を採用すればブランドイメージがアップすると思っているのかもしれない」という声すら出た。

 採用段階から外国人留学生は別グループ扱いで、入社以降も別枠扱い…、それが多くの日本企業の現状だろうが、他の国ではそもそも「海外では国籍を分けた採用はない」という。討論会では「『グローバル採用』と言っている時点で、その企業はグローバルとは言えないのでは」といった厳しい意見もあった。

 かつてインバウンドツーリズムが真っ盛りだった頃、多くの日本企業がグローバル人材を欲しがったが、採用者の間では不満も漏れていた。「私たちの仕事は通訳・翻訳業務にとどまり、肝心な仕事は任せてもらえず、常に日本人スタッフのサポート的な仕事ばかりでした」(大手小売業に就職した中国籍のGさん)といったコメントをよく耳にした。

 日本の就職環境についての現実と矛盾を目の当たりにし、あるいはすでに日本を去った先輩からの就活談を聞かされるにつれ、日本企業への就職に対する積極性を失ってしまうグローバル人材は少なくない。