日本のバブル期をほうふつとさせる
「ぜいたく病」の恒大集団の経営陣

 恒大集団の従業員は、20万人にも上るといわれるが、同集団が倒産すれば、これらの従業員は路頭に迷うことになるだろう。しかし、中国政府が救済に動きだす可能性は少ない。「市場の手段によって自らを救うべきだ」という世論が出来上がっているからだ。

 ここまで巨額の債務を負うには、もちろん、その経営陣の判断による責任がある。しかし、その経営陣はむしろ、バブル経済時の日本企業に見られる「ぜいたく病」にむしばまれている。

 また、恒大集団に対して、世間の風当たりがますます強くなったきっかけがある。というのは、中国のSNSに広く拡散され、中国のネットメディア(参照)でも話題になった「ある接待の注意書き」だ。これが、恒大集団のトップ管理層のぜいたくぶりを暴露し、もともと低迷している恒大集団の人気をさらに下げてしまい、その財務救済の環境作りをいっそう困難なものにしたのである。

 中国国内のメディアによると、この接待の注意書きには、恒大集団の許家印前会長のホテル宿泊について、次のように書かれている。

1.ホテルに入る際は、人数を少人数に抑える
2.その移動に従って、フロアごとのエレベーターを事前にコントロールしておく
3.秘書やボディーガード、その他の私的関係者以外の人間、特に男性は近寄らせないようにする
4.飲む水は恒大の「氷泉」の最新ロット
5.部屋の加湿器の湿度は50%を超えてはいけない
6.部屋には臭いがあってはいけない
7.空気清浄機は稼働状態にあること。しかし、騒音があってはいけない。夜の睡眠時には、すべての機器の明るいところに黒のテープを貼ること
8.夜の就寝時は絶対に静かさを保つこと
9.個人専用の葉巻(CohibaシリーズとDavidoffシリーズ)、葉巻のシリンダー、専用はさみなどのセットを用意しておく
10.お茶のセットを備えておく
11.ホテルのアメニティー用品に説明文字を大きく書いたラベルを貼っておく
12.浴室滑り止めスリッパは事前に備えておき、ハンガーも十分に用意しておく。毎日、洗濯物を出す
13.食べ物においては、輸入果物しか食べない。たとえば日本の温室のメロン、日本の晴王シャインマスカット、および冬ナツメ、マンゴーなどの甘い果物、水産品では、遼寧産ナマコと淡水魚は好みだが、のぼせやすいもの、辛いもの、海の魚介類は避けるべし
14.カラオケで歌うときは、ロイヤル・サルートをソーダ水で割るのが好み