今回は、中国株式市場に関するウエブサイトを開いて、中国語の予備知識なしにデータを入手することに挑戦しよう。
株価は経済の体温計
どの国でもそうであるが、株価は経済の動向を知るための最も基本的なデータの一つだ。しかも、さまざまな経済データの中で、通常、最も早く入手できる。株価を見るのは、医者が患者の状態を大ざっぱに掴むために、体温を測るようなものである。
物価指数や貿易統計は、政府作成統計の中では比較的早く入手できるものだが、それでも実際の変化が生じてからデータが得られるまでに、1ヵ月程度の遅れがある。GDP統計などの高度に加工されたデータだと、速報でも数ヵ月の遅れになる。それに対して、株価データは、数時間の遅れしかない。だから、経済の短期的変動を見るには、まず参照すべきデータだ。株価は、将来の予測も織り込んでいるから、将来の展開を市場がどう評価しているかを知ることもできる。
また、長期的な推移も見ることができる。1990年代以降の日本の株価は長期的な下落を辿っている。また、経済危機後、アメリカの株価は、経済危機以前の水準を取り戻したのに、日本の株価は経済危機前の半分程度だ。これを見ていると、日本経済に基本的な問題があることが分かる。後に述べるように、中国の株価も経済危機後あまり上昇していない。これをどう解釈するかは重要な問題だ。
また、平均株価だけでなく、個別企業の株価のデータも簡単に見ることができる。投資家としては、個別企業の株価が関心のあるデータだろう。私のように、投資には関心がないが経済動向の分析には関心がある者にとっても、個別企業の株価は重要なデータだ。
暫く前までは、株価データを入手するのは、それほど簡単ではなかった。しかし、いまでは、ウエブで簡単にしかも無料で大量のデータをすばやく入手することができる。新聞であれだけの紙面を株価情報の報道に使う必要がどこにあるのか、私はいつも疑問に思っている。