ゼネコン「冬の時代」が再び到来、低入札の赤字工事はここだ!写真はイメージです Photo:PIXTA

東京オリンピック・パラリンピックにかこつけた東京都心の再開発案件は弾切れとなり、残る案件は採算が悪化。ゼネコン優位だった価格交渉は潮目が変わり、公共事業でもダンピング入札が発生。各社の利益率は目に見えて悪化しており、ゼネコン冬の時代の再来が懸念されます。(大手ゼネコン勤務 建山堀男)

営業利益1000億円超見通しは鹿島だけ
「後遺症」にさいなまれるゼネコン各社

「本業の建設業の採算性示す完成工事総利益率(単体)は、今期13社中10社で落ち込む見通し」――。日本経済新聞9月14日付朝刊に掲載された記事には、こうあります。

 スーパーゼネコン5社の通期(2022年3月期)連結営業利益予想を見ると、鹿島1040億円(前年同期比18.3%減)、大成建設900億円(同31.0%減)、清水建設765億円(23.6%減、大林組950億円(22.9%減)、竹中工務店380億円(21年12月期、同4.5%減)――となります。

 8月10日に掲載した『ゼネコン「五輪バブル」後に期待をかける“五輪案件”がまだあった』でも書いたように、工事の受注がこれから増えても採算が悪く、ゼネコンにとってうまみの少ない工事が増えているようです。東京オリンピック・パラリンピックにかこつけた建設バブルは遠い過去の話となり、「宴の後」の後遺症にさいなまれているといえるでしょう。

 その証拠に、ここ数年は見られなかった低入札案件が見られます。利益率の高いとされる公共工事においてさえ、いわゆるたたき合い、ダンピング競争が再開しているのです。