コロナ禍からの企業業績の回復は、勝ち組と負け組の格差が拡大して「K字型」に引き裂かれていくという二極化の議論が強まっている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はトヨタ自動車、ホンダなどの「自動車」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)
自動車メーカー各社が
軒並み大幅増収となったワケ
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の自動車業界5社。対象期間は21年4~6月の直近四半期としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・トヨタ自動車
増収率:72.5%(四半期の営業収益7兆9356億円)
・ホンダ
増収率:68.7%(四半期の売上収益3兆5839億円)
・日産自動車
増収率:71.0%(四半期の売上高2兆82億円)
・スズキ
増収率:98.8%(四半期の売上高8454億円)
・SUBARU
増収率:39.0%(四半期の売上収益6352億円)
自動車業界5社の四半期増収率(前年同期比)は、全てプラスとなった。トヨタ自動車、日産自動車は7割超、スズキはほぼ倍増という大幅増収だ。
しかしこの大幅増収の背景には、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて前年同期に当たる20年4~6月期に売り上げが大幅に減少していた事情がある。前年同期の落ち込みからの「反動増」が売り上げを押し上げた側面が強いのだ。
では、コロナ前と比較すると、各社の売り上げはどのくらいの水準にまで回復しているのだろうか。その実態を次ページ以降で詳しく解説する。