MBDの日本連合で
国際競争力を向上

 このように、マツダのMBDの先行導入から始まったモノ造り革新は、同社の置かれた苦しい環境から進んでいったものだ。本拠地が広島にあり中小部品メーカーも広島周辺にある地域性を生かしたMBD成果だが、「モデルを使いながら各社をつなぎ“すり合わせ”する知見を、外でも生かしたい」(人見委員長)というのが、マツダがMBD推進センターの中核にいる理由だ。

 このMBD推進センターの理念には「MBD技術を広く普及展開し、モデルを用いた高度なすり合わせ開発(SURIAWASE2.0)を実現することにより、日本の自動車産業の国際競争力向上に貢献する」ことが掲げられている。人見委員長は「カーボンニュートラルやCASE対応での移行期にあってやることがすごく増えている。効率的なMBDの普及をヨコの連携で進め、ルールを合わせるのが重要。モデルをしっかり使うことで電動車も効率的に開発でき、大いに効果が出てくる」とリソースの効用にもつながることを強調した。

 MBD推進センターは、事務局を日本自動車研究所(JARI)に置き、発足当初のOEM5社、大手サプライヤー5社から参画企業を増やしていくことにしており、10月8日には「MBD推進センター発足記念オンラインフォーラム」を開き、オープンイノベーションの認知度を高めていく。

 もともと、このMBD推進センターは15年に経済産業省の研究会からスタートした枠組みが発展したものだが、欧州ではダイムラー、フォルクス・ワーゲンなどのOEMとボッシュ、コンチネンタルなどのメガサプライヤーらドイツ勢が連携してMBDを進めている。

 日本勢としても今回のMBD日本連合の結成で、サプライヤーの競争力向上に加えて、電動車や自動運転などへの開発余力を生み出し、日本車全体がモビリティ新時代を生き抜くための推進力になることが期待される。

(佃モビリティ総研代表・NEXT MOBILITY主筆 佃 義夫)