HSBCは司法取引で
ファーウェイ情報を提供

 HSBCにとって、ファーウェイは大口顧客でもある。そのファーウェイを売るような行為に出たのはなぜか。

 遠因に2012年の「メキシコのマネーロンダリング事件」があった。英ロイター通信は当時、メキシコから流出したドラッグマネーを資金洗浄したとして、米国当局が科した19億2000万ドルの罰金の支払いにHSBCが合意したと報じた(2012年12月11日)が、HSBCはこのマネーロンダリングをきっかけに米国による制裁問題を抱えることになる。

 その後、HSBCは米国司法省と司法取引を行った。HSBCは米司法省と5年の起訴猶予に合意し、米司法省に対し調査協力に同意することで米側の刑事告発を免れたのである。

 司法取引の材料となったのが、ファーウェイに関する情報提供だった。ロイターは「HSBCはファーウェイに対する内偵活動を開始し、それを実施するために米法律事務所と契約した。調査内容は2017年に米司法省に報告され、米司法省は刑事訴訟を起こすためにこれを利用した」と伝えている(2019年2月26日)

 中国外交部をはじめ、人民日報など中国の主流メディアは孟晩舟事件を「完全に米国により、つくられた政治事件だ」と主張したが、この「つくられた政治事件」はこれだけではなかった。

豪紙が報じる「ファーウェイを抹殺するための活動」

 2018年7月、カナダ東部のノバスコシア州で、ある夕食会が開かれた。参加したのはいわゆる「世界で最も強力なインテリジェンスネットワークを持つファイブアイズ(米・英・加・豪・ニュージーランド)の面々」だという。

 このときの様子を報じたのが、豪日刊紙の「シドニーモーニングヘラルド」だ。同年12月13日に「“ファイブアイズ”がファーウェイを抹殺する組織的活動をどのようにつくり上げたか」という物騒なタイトルを掲げ、こう取り上げた。

 「7月17日の夕食会には、地政学的脅威についての考えを共有するためにカナダのトルドー首相も参加した。その後の数カ月間で、オーストラリア、米国、カナダ、ニュージーランド、英国が、ファーウェイ製品を5Gネットワークへの機器供給から除外しようという前例のない組織的活動が始まった」

 夕食会での密談のテーマは、ほかならぬ“ファーウェイ潰し”だった。