決選投票で岸田氏に投票した片山さつき元女性活躍担当相(二階派)も、「経済政策だけでなく外交や安全保障政策にも期待している」とエールを送ってみせた。

 10月4日、第100代内閣総理大臣に就任した岸田氏にとっては、言うまでもなく新型コロナウイルス対策や景気対策が喫緊の課題になる。しかし、これらに加え、2人の女性閣僚経験者が指摘したように外交や安全保障、とりわけ、このところ新たな動きを見せ始めた中国の習近平体制とどう向き合うのかも大きな焦点になる。

 前任の菅義偉氏は、新型コロナウイルス対策が後手に回り、説明不足も加わって国民からの信頼を失い退陣に追い込まれた。

 とはいえ、外交や安全保障面で言えば、「積極的平和主義」を掲げてきた安倍外交を引き継ぎ、アメリカのバイデン大統領と信頼関係を築いた点、そして、2021年6月のG7サミットで、中国による強引な海洋進出に懸念を示す共同宣言の採択に尽力した点、さらには、退陣直前に開かれたQuad(日米豪印4カ国による枠組み)の首脳会談において、日本として中国の動きに深い懸念を表明した点は評価できる。

 果たして、岸田氏はどうであろうか?

 岸田氏は、総裁選挙前の政策発表で、「覚悟を決め、腹をくくる姿勢が不可欠」と強調し、中国に対しては、「権威主義的、独裁主義的体制が拡大」していると述べて、台湾海峡の安定や香港、新疆ウイグル自治区の人権問題に毅然と対応していくと主張した。

 そのためには相応の覚悟が問われる。日本単独では乗り越えられず、アメリカなどとの強固な連携も不可欠になる。それだけ習近平国家主席は、したたかな人物だからである。