9月に消費者庁が発足し、日本の消費者行政が本格的にスタートした。外務省の招聘によって12月初旬に来日したEU(欧州連合)のメグレナ・クネヴァ消費者保護担当委員は、福島瑞穂・消費者担当大臣をはじめとする日本の消費行政関係者と熱心な意見交換を行なった。クネヴァ委員は、消費者庁の発足を歓迎すると共に、消費者保護先進国であるEUの経験を踏まえながら、日本が進むべき新たな道について指摘する。(文/ダイヤモンド・オンライン 小尾拓也)

メグレナ・シュティリアノヴァ・クネヴァ
メグレナ・シュティリアノヴァ・クネヴァ/EU(欧州連合)消費者保護担当委員。1957年生まれ。ブルガリア出身。ソフィア大学法学部博士課程終了。ニュースキャスターなどを経て、2001年ブルガリア国民議会議員に選出。外務副大臣、欧州問題担当大臣、EU加盟交渉責任者、「欧州の将来に関するコンベンション(協議会)」への政府特別代表などを経て、07年欧州委員会委員に就任。

――今回の来日で、福島瑞穂・内閣特府命担当大臣(消費者及び食品安全担当)と会談を行なった。どのような感想を持ったか?

 日本で消費者庁が発足したことは、EUで高く評価されている。ワールドワイドで消費者保護が叫ばれるなか、消費者行政の重要性は増すばかりだ。それをしっかり進めるためには、力強い行政機関が必要だ。

 法治体制、民主主義、市場主義経済など、EUと日本の間には共通点がたくさんある。EUと日本が消費者行政でどのような意見を出し合い、協力していけるかを探るのが、訪日の主な目的だった。

 今回、消費者担当の福島瑞穂大臣や、衆参両院における消費者委員会の担当者の方々にもお目にかかることができた。そして、消費者問題の象徴ともいうべきNGO(非政府組織)や、さらには銀行協会、消費者信用協会などの関係者とも意見を交わすことができた。とても実りの多い訪日だったと思う。

――日本は他国と比べて、「消費者の権利を守るための政策が未発達」と指摘されることが多い。消費者庁ができたことにより、今後日本の消費者行政はどのように進歩していくと思うか?

 EUと日本の経済は、それぞれ異なる伝統を持ち、異なる発展をして来たため、一概に双方の優劣を比べるべきではないと思う。

 今回、日本で会った関係者は、行動経済学に基づく消費行政の研究など、消費者保護に対してとても深い見識を持ち、熱心に分析をしていた。多くの人々が、「EUのベスト・プラクティスから学びたい」とおっしゃっていただいた。