今回は、日本を代表する名門電機メーカーである、パナソニックとソニーグループの決算書を見ていこう。昨今の報道では業績の明暗が語られることの多い2社だが、決算書にはどんな実態が表れているのか。それぞれの特徴を解説する。(中京大学国際学部・同大学院経営学研究科教授 矢部謙介)
業績が停滞するパナソニック
事業構造改革の効果とは?
今回は、パナソニック、ソニーグループ(ソニー)の決算書を比較してみよう。
名門電機メーカーとして知られる2社だが、近年の業績ではソニーが「勝ち組」に位置づけられる一方で、パナソニックについては業績に停滞感があるといわれている。実際の決算書の数字を使って、2社の業績と戦略の違いを確認してみたい。
では、パナソニックの決算書から見ていこう。
パナソニックの貸借対照表(B/S)の資産サイドで最も大きいのは、流動資産(約3兆9230億円)である。このうち、現金及び現金同等物が約1兆5930億円、営業債権及び契約資産が約1兆1940億円、棚卸資産が約8330億円を占めている。
次いで大きいのは、有形固定資産(使用権資産を含む、約1兆3120億円)だ。パナソニックは国内外で数多くの工場を稼働させており、そうした工場の土地、建物、製造設備などが計上されている。