三井住友 名門「財閥」の野望#4Photo:JIJI

三井と住友という二大財閥系列の銀行同士が合併した今世紀初頭。商社業界においても、三井物産と住友商事の合併がたびたび取り沙汰されてきた。伊藤忠商事と三菱商事の「2強時代」といわれる今、時価総額で業界3位と4位に甘んじる商社同士の「大合同」は起こり得るのか。特集『三井住友 名門「財閥」の野望』(全18回)の#4では、その真実味を検証する。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)

住友商事の業績不振でくすぶる
三井物産との合併は起こり得るか

「業界内で存在感が埋没している。三井物産との合併も選択肢として真剣に検討するべきではないか」

 住友商事のOBがそう語気を強める理由は、「あまりにふがいない」と嘆く古巣の業績にある。

 2021年3月期、住友商事は総合商社で唯一、最終損益で1531億円の赤字に沈んだ。その要因はマダガスカルのニッケル事業など資源を中心とした一過性の減損損失にあるが、かつての主力だった鋼管事業や自動車関連事業でも不振が目立つ。

 そもそも住友商事は長年、三菱商事、三井物産に次ぐ業界3位が定位置だったが、10年に当時4位だった伊藤忠商事の社長に就いた岡藤正広氏から「業界3位を目指す」と事実上の宣戦布告を受け、実際に12年3月期に純利益3位の座を明け渡してしまった。

 以来、伊藤忠に一度も勝てていないばかりか、資源の“減損スパイラル”で自滅し、時価総額で5位の丸紅にも抜かれそうな情勢だ。

 冒頭のOBが合併相手として三井物産の名前を挙げるのには理由がある。