三井住友 名門「財閥」の野望#3Photo:JIJI

三井住友フィナンシャルグループは太田純社長と高島誠頭取という旧住友銀行出身の2トップ体制が誕生し、すでに3年目を迎えている。今後、旧三井銀行出身のトップは現れるのか。特集『三井住友 名門「財閥」の野望』(全18回)の#3では、人事や注力事業、他メガバンクとの競争などの観点から三井住友銀行の未来を占う。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)

旧三井銀行が抱える「集大成」とは
三井住友銀行の次期頭取を独自予想

 誕生から20年――。経営トップとして、特に後半の三井住友フィナンシャルグループ(FG)の成長を支えた宮田孝一・三井住友銀行会長が10月24日、膵臓がんのために死去した。67歳だった。

 1976年に東京大学法学部を卒業後、旧三井銀行に入行した宮田氏は、2011年に三井住友FG社長に就任。同時に三井住友銀行頭取に就任した國部毅氏と二人三脚で、グループの経営拡大に尽力した。

「2000年代前半の銀行経営が一番苦しかった時、市場部門で収益の屋台骨を支えてくれた」。宮田氏の元部下はそう回顧する。

 宮田氏は本特集でダイヤモンド編集部の取材に応じる予定だったが、今月20日に予定されていたインタビュー直前に急きょ入院していた。その後の25日夜に駆け回った突然の訃報。元同僚は「惜しい人材を亡くした。いつから(病と)戦っていたのだろうか」と動揺を隠せずにいた。

 訃報が明らかになる前、旧住友銀行出身の三井住友銀行OBは、宮田氏に向けてこんなねぎらいの言葉を口にしていた。「次の人事が宮田さんの集大成になるかもしれないな」。OBの念頭にあったのは、次の首脳人事だ。

 三井住友FGは17年に指名委員会等設置会社に移行しており、FG社長や銀行頭取の後継者選びは指名委員会の預かり事項だ。実力と人物評価が重視されるが、三井と住友という旧行バランスも簡単に無視することはできない。旧行への思い入れが深い有力OBも多数存在するからだ。

 そうした中で、前出のOBが言う「集大成」とは何だったのか。それを知るには、二つのキーワードから、過去20年間にわたる三井住友銀行のトップ人事を読み解かなければならない。