お小遣いを増やす必要はない
リモート環境の整備で対応

 そして、ここからがさらに重要なのですが、親は子の就職活動において、お小遣いを増やす必要はありません。当たり前ですが、就活で企業が学生からお金をとることは一切ありません。活動資金を用意することの意味は、回線を契約したりルーターを購入したりしてWi-Fi環境を整えたり、パソコンのグレードアップをしたり、スマートフォンしか使っていない子にパソコンを準備したりすることです。

 PCを新しくするといっても、ゲーミングパソコンのような数十万するような高額で超ハイスペックなマシンを用意する必要はありません。オンライン説明会やオンライン面接に必要なズームなどのテレビ会議アプリケーションが満足に動くようなPCは、10万円程度で十分購入可能です。このように、必要なPCのスペックや価格の限度も知っておく必要があります。

 昔のように、あちこちの会社に出かけていくわけではないので、外出しない分、家の中での環境に配慮するという点で子に理解を示し、子の就活についての会話のきっかけをつかむのです。
 
 もちろん、東京や名古屋や大阪など、遠方の会社に行くこともないわけではありません。その際の交通費は援助してあげてください。ただ、それにもルールをつくるべきだと私は考えています。

 たとえば、新幹線の回数券でわたすとか、領収書をもらってきて提出してもらうなどです。家族なのに水臭いと思われる方もいるでしょうか。しかし、もう子どもではないので、お金を渡して終わりというのはあまり好ましくありません。お金に関してこのような家庭内のルールをつくることで、社会人としてのルールを知るきっかけにしていくのが、家庭での教育の「仕上げ」だと思います。

 活動資金の渡し方に関しては、子の就活の実態にふさわしい援助をすること、とりわけ今の場合は、オンライン説明会やオンライン面接がスムーズに行えるような通信環境やPC環境の整備に着目すること、交通費などは経費請求の手続きの予行演習になるようなルールにすること、の2点を守ってください。

(ダイヤモンド・ヒューマンリソース HD首都圏営業局 局長 福重敦士、構成/ライター 奥田由意)