時代が変われば、コミュニケーションの常識も変わる。「トランプ話法」を元皇族が使うような時代なのだから、企業の危機管理なども従来のようなやり方から変わっていくかもしれない。

 例えば、筆者はよく企業から、マスコミや週刊誌から質問状を受けたときの対応の相談を受ける。どのような言葉で回答をすればいいのか、書面で答えればいいのか、やはり対面でやりとりした方がいいのか、などのアドバイスをしたり、回答案を作ったりする。

 これもそう遠くない未来、小室夫妻のようなスタイルになるかもしれない。つまり、都合の悪いこと、あまり突っ込まれたくないことに関して質問状が送られてきたら、こんな回答で取材拒否をするのだ。

「いただいた質問の中に、誤った情報が事実であるかのような印象を与えかねない質問が含まれていました。このことに衝撃を受けるとともに、お客さま、取引先企業さまなど多くの人々に誤った情報が広がることに強い恐怖を感じ、これにお答えすることは不可能であると判断いたしました」

 もちろん、これまではこんな回答をしたら「企業の説明責任はどうした」とボコボコにたたかれた。しかし、「メディアはうそばかりをつく」「フェイクニュースだらけ」というムードが強まっていけば、「セーフ」になるかもしれない。

「マネジメントの父」ドラッカーが
警鐘を鳴らした社会が目前に迫っている?

 ナチスのプロパガンダを研究していた、「マネジメントの父」と称されるピーター・F・ドラッカー氏は著書『経済人の終わり』の中で、こんなことを述べている。

「プロパガンダの蔓延の危険性は、プロパガンダが信じ込まれる、ということにあるのではまったくない。その危険は、何も信じられなくなり、すべてのコミュニケーションが疑わしいものになることにある」

 皇室までが報道を「フェイクニュース」だとたたく時代だ。ドラッカー氏が警鐘を鳴らした「何も信じられない社会」は、もうそこまで来ているのかもしれない。