好事家とは、生活が安泰であることのたとえ。「左」+「団扇」の三字熟語。
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左団扇(ひだりうちわ)
〔意味・由来〕 生活が安泰であることのたとえ。「左」+「団扇」の三字熟語。
一般的に利き手は右利きの人が多いので、団扇も右手で使われることが多い。利き手ではない左手で団扇を使うと、動きがゆっくりとしているように見える。それが、あくせく働かなくても、ゆったり生活をしているように見えるので、「左団扇」と言うようになった。
団扇は、中国から入ってきた物で、元は扇子状で丸い形をしていたが、日本で今のような形に工夫された。昭和の文豪、織田作之助は、芥川賞候補になった『俗臭』や『夫婦善哉』で一躍人気作家になった。親の借金のためにカフェで働いていた一枝に一目惚れした織田は、監禁状態の一枝を仲間と共に救い出して後に妻にするなど、名実ともに無頼漢であった。『夫婦善哉』は、逆境に負けずに力強く生きる人気芸者の蝶子と、憎めない柳吉の物語である。「左団扇」は、蝶子が天ぷら屋の娘として育ち、小さな頃から贅沢とは無縁な家庭環境で育ったことがわかる冒頭の情景で使われている。
〔引用〕 ――種吉の手に五十円の金がはいり、これは借金払いでみるみる消えたが、あとにも先にも纏まって受けとったのはそれきりだった。もとより左団扇の気持はなかったから、十七のとき蝶子が芸者になると聞いて、この父はにわかに狼狽した。(織田作之助『夫婦善哉』)
西角けい子(にしかど・けいこ)
ステージメソッド塾代表/学習コンサルタント/三字熟語研究家
オムロンを退職後、日本有数の大手塾の激戦区である兵庫県西宮北口にステージメソッド塾を開業。
国語力を急伸させる独自の「ニシカド式勉強法」により、わずか6ヵ月でごく普通の成績だった7名の塾生を日本一(全国版学力テスト)に育て、多くのマスコミから取材される。「お母さんの言葉がけ」と、「暗記力」「ノート力」「作文力」アップを重視した「ニシカド式勉強法」は定評があり、倍率10倍以上の超難関公立中高一貫校に、14年連続地域No.1の合格者を出している。片道3時間以上かけて通う小学生や新幹線や飛行機で通塾する中学生もおり、塾周辺に転居してくる家庭も多い。
ひょんなことから、国語の世界で影が薄い「三字熟語」のおもしろさに気づき、軽やかで、庶民的で、思わずクスッと笑ってしまう三字熟語にハマる。三字熟語ラブな思いが高じて、三字熟語クイズを作り始めた。夏目漱石や太宰治などの文豪が使う「三字熟語」の巧みな表現にしびれ、文豪の人間味や生き方に興味を抱き、文豪の出生地巡りや墓参りをしながら、「三字熟語」の探究を続けている。