ブースター接種の効果、医療者以外はどうする写真はイメージです Photo:PIXTA

 新型コロナワクチンの接種率が7割に迫る一方、2月に先行接種していた医療従事者への「ブースター接種」――3回目の接種が12月には始まりそうだ。

 ワクチン接種後、半年間で血液中に含まれる抗体(ウイルスに対抗する免疫の武器)価が、ピーク時の4分の1に下がるケースがあるためで、ブースター接種により抗体価が増える効果を期待できる。

 ワクチン接種で一歩も二歩も先行しているイスラエルでは、デルタ型変異ウイルスの猛威に曝されていた今年7月30日から60歳以上の3回接種を認めた。現在は12歳以上に拡大している。

 このうち、ファイザー/ビオンテック社製のmRNAワクチンのブースター接種者と非接種者を比較したデータが報告された。

 対象者は60歳以上で、少なくとも5カ月以上前に2回接種を完了した113万7804人。ブースター接種群と非接種群にわけ、その後の新型コロナウイルス感染の有無を追跡している。

 その結果、ブースター接種後の12~25日で接種群の感染リスクは非接種群の10分の1以下に低下。感染した場合も、重症化リスクがおよそ20分の1にまで低下していることが示された。

 同報告のインパクトは大きく、一時期、ブースター接種に否定的だった米国も9月27日に容認へと舵を切った。65歳以上の高齢者と65歳未満の重症化高リスクの人たち――がん患者、慢性腎臓病、COPD(慢性閉塞性肺疾患)など慢性の呼吸器疾患、糖尿病など基礎疾患がある人、妊婦、喫煙者、移植を受けたことがある人についても接種を推奨している。

 ただ、イスラエルの報告は解析対象期間が短いことが難点で、研究者も「長期的なメリットについては観察が必要」としている。

 ともあれ高齢者や複数の基礎疾患を持つ人、常に感染・被感染リスクがある医療/介護従事者がブースター接種をする意味はあるだろう。一方、健康な若年層については熟考が必要だ。特にもともと重症化リスクが低い10~20代のメリットは小さいと思われる。

 ちなみに、3回目の副反応は1、2回目の範囲内に収まるようだ。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)