「鶏口牛後」の時代には、
「最初の一人として全体構想を作り上げる」思考力が必要
他国を見ても、アメリカのMBA卒の学生の卒業後の進路として人気が高いのはスタートアップで、伝統的大企業は下の方と、まさに「鶏口牛後」になっているといわれています。
このような時代の「鶏(ニワトリ)」に必要なのが、「最初の一人として全体構想を作り上げる」思考力なのです。
従来であればアーキテクトに相当する人は、大型ピラミッドが少数存在する状況では極めて少数でよかったのが、小型ピラミッドが乱立する現在の状況では、飛躍的にニーズが上がっていることがおわかりいただけると思います。
質問者の建設業界でも、従来型のビジネスの延長戦上で考えるのではなく、業界全体の課題へと視野を広げれば、世界中の建築資材メーカーを束ねるプラットフォームを作ることで建築コストの低減が実現できるかもしれません。
世界中の人材が活躍できるような仕組みを作れば、高齢化による人材不足や問題視されている労働環境の改善ができるかもしれません。
また、組織にとらわれずにゼロベースで発想することで、旧態依然とした組織における無駄な組織の壁をなくすことや、外部ベンターとの癒着も解消できるでしょう。
質問者自身が独立して、既存の建設関連プラットフォームを使った新たなサービスを提供することも、決して不可能ではありません。
次回以降も、読者からの質問に答える形でアーキテクト思考について事例を交えながら解説できればと思いますので、こちらから質問をいただければと思います。
ビジネスコンサルタント・著述家
株式会社東芝を経て、アーンスト&ヤング、キャップジェミニ、クニエ等の米仏日系コンサルティング会社にて業務改革等のコンサルティングに従事。近年は問題解決や思考力に関する講演やセミナーを企業や各種団体、大学等に対して国内外で実施。主な著書に『地頭力を鍛える』(東洋経済新報社)、『具体と抽象』(dZERO)『具体⇔抽象トレーニング』(PHPビジネス新書)、『考える練習帳』(ダイヤモンド社)等。
坂田幸樹(さかた・こうき)
株式会社経営共創基盤(IGPI)共同経営者・
キャップジェミニ・アーンスト&ヤング、日本コカ・コーラ、