野党共闘という名の
立憲・共産不平等条約

 立憲と共産が共闘することが注目されていた野党共闘でした。それぞれの勢力を足し算したら、掛け算になるかのごとく議席が大幅に増える公算だったはず。にもかかわらず、結果として共倒れをしてしまったのにはさまざまな要因がありますが、大きな理由は次のようなことです。

 立憲に候補を統一した選挙区では、共産支持者は悩みながらも立憲に投票していました。その結果、その選挙区では自民党候補を落とすか、または過去にないほどまでの接戦となりました。

 一方、共産に候補を統一した選挙区では、立憲支持者の票が共産党候補に乗っかっていないという結果になったのです。

 事実、自民党候補VS共産党候補になった地域では、立憲支持層の票が自民へと流れています。つまり、立憲支持者は共産に票を入れるより、自民に票を入れることを選んだということになります。

 立憲支持層の中には、野党共闘といいながらも心の底では「共産党にくみすることはできないので、共産党の票をうまく取り込んでやろう」と思っていた人が少なからずいたということでしょう。今回の野党共闘はいわば「立憲・共産不平等条約」といえるでしょう。

自民党候補の多くが
比例復活できた理由

 立憲候補に一本化されたところはギリギリで競り負けたところも目立ちましたが、野党共闘によって、かなり良い戦いができたことは間違いありません。

 自民党の石原伸晃元幹事長が敗れた東京8区がその典型で、野党統一候補となった立憲新人の吉田晴美氏に、比例復活までも許さないほどの差をつけられました。

 これはまさに野党共闘の「手柄」でしょう。他の小選挙区でも大物議員が落選したり、追い詰められたりするケースが見られました。

 しかし、小選挙区で敗れた多くの自民党議員が続々と比例復活しました。

 2017年の前回選挙時と比べ、多くの比例ブロックにおいて、自民党の比例枠は1議席増もしくは横ばいで収まっています。

 比例枠では自民だけではなく維新も議席数を増やしているので、比例の争いで「立憲・共産連合」は敗北したことになります。

 では、なぜ自民の比例枠の獲得数が増えたのか。

 それは自民党総裁選挙の影響が大きいといえるでしょう。